photo: voile(作品)、Nacasa & Partners Inc.(展覧会場)



OKYO FIBER ‘09-SENSEWARE
展覧会ディレクター 原研哉

日本の人工繊維は新たなSENSEWAREである。石器時代に石という素材が人間の創造性を目覚めさせたように、また、紙という媒質が印刷をはじめとする膨大な知の活性を誘い出したように、ハイテクノロジーで進化した人工繊維は人間にどのような創造を意欲させるだろうか。あるものは細胞のように微細に、あるものはゴムよりもしなやかに、またあるものは金属のような電導性を備えて。この展覧会は、新しいSENSEWAREが拓いていく領域をヴィジュアライズする試みである。建築や諸分野のデザイナー、クルマやハイテク家電メーカー、メディアアーティスト、植物アーティスト。果たしていくつの可能性をこの試みに呼び集めただろう。ものづくりのさらにその先へ向かって、技術、素材、才能が交差する。ここに覚醒される感覚の中に、具体的な未来を感じていただきたい。(展覧会序文より)

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作品:『繭のゆりかご マザーピース』
津村耕佑

衣服と人間に常に新しい意味の位相を探す津村耕佑は、母と子のための衣服を考案した。生まれたての赤ん坊を受けとめる器のようなやさしいゆりかごは、柔らかい毛布のような素材ながら、中央の凹み部分が繭のような固さを持つ。また、レーザーカットされた小さなユニットは、パズルのように精緻に組み合わされて母親の衣装になる。

素材:フレクスター®(株式会社クラレ)

www.kuraflex.com/flextar

「フレクスター®」は通気性、吸水性、吸音性、伸縮性などの特性を持ち、人体の快適性をチューニングする高機能不織布である。スチームジェット製法で作られ、非常に軽量で加工性が高く立体成型性に優れる。ここでは軟らかな部分と硬化した部分を同時にひとつの素材の中に発現させている。

原 研哉 グラフィックデザイナー

1958年生まれ。武蔵野美術大学教授。2002年より、無印良品のアートディレクションを担当。「もの」ではなく「こと」のデザインを志向している。デザインという語の意味を問い直しながら世界各地を巡回し、広く影響を与えた「RE-DESIGN:日常の二十一世紀」展をはじめとして、「HAPTIC」「SENSEWARE」など既存の価値観を更新するキーワードを擁する展覧会を制作し世界に巡回。また、長野オリンピックの開・閉会式プログラムや、愛知万博のプロモーションでは、深く日本文化に根ざしたデザインを展開した。著書『デザインのデザイン』(岩波書店、二〇〇三年)は、サントリー学芸賞を受賞。同書は中国・韓国・台湾語に翻訳された後、大幅な増補を加えた英語版『DESIGNING DESIGN』(Lars Muller Publishers, 2007)を出版、世界に多くの読者を持つ。

津村耕佑 ファッションデザイナー

1959年埼玉県生まれ。1982年第52回装苑賞受賞。1983年三宅デザイン事務所入社。1992年第21回現代日本美術展準大賞受賞。1994年パリコレクション初参加。1994年第12回毎日ファッション大賞新人賞受賞。1998年ロンドンファッションウィーク初参加。2001年ベネチアビエンナーレ展出展。2001年ロンドンJAM展出展。2001年COCA-COLA ARTPROJECT参加。2001年第3回織部賞受賞。2002年上海ビエンナーレ展出展。現在、「都市生活者のための機能服」FINAL HOMEディレクター。

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